高圧ガス輸送のきまり |
規制を調べる
積載量とガス種の表(MATRIX)から
多 | × | 13 | 23 |
少 | 02 | 12 | 22 |
微 | 01 | 11 | × |
不 活 性 |
酸 素 ・ 可 燃 性 |
毒 性 |
容器を40℃以下に保持することはどのガスでもどんな量でも必須です!
※特殊高圧ガスは量にかかわらず「多」量になります。
※液化ガスは縦積み、充填容器から車両後面まで30cmを確保などの規程の詳細は「転倒転落防止措置の詳細」を参照
一般複合容器の注意
アルシン/セレン化水素
その他の禁止事項
なお、ほぼすべての高圧ガス充填容器等(以下「容器」)は、転落転倒等による衝撃やバルブの損傷防止措置を講じ、40℃以下に保持し、粗暴な取扱いをしてはならない。 |
本規定を含め、公道における高圧ガスの輸送で以下のきまりごとを守らない車両等が、検問やパトロール中の警察に指摘を受け、高圧ガス保安法違反で最高30万の罰金が課せられるケースが増えているので注意すること。 |
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■はじめに
本ページは高圧ガスの保安を図るため、最低限高圧ガスを輸送(公道等を車両等で移動させること)する者が守るべき、法律で定められている主旨と思われるものを簡単に理解できるよう整理したものです。ただしあくまでも高圧ガス保安法は「自主保安」が基本であるので、職場や組織においてこれ以上にきぴしい取り決めがある場合、なんらそれらの規程や基準を否定するものではありません。
なお、このページではだれでも簡単に理解できるように、高圧ガスを量で「多」「少」「微」に分類し、種別で「毒性」「酸素・可燃性」「不活性」に分けて説明をしています。各量の区分についてはリンク先に説明があるのでご確認ください。
少量:以下の「微」量より多く、「多」量より少ない。ガス種類別に「微量を越える不活性ガス」「少量の酸素または可燃性ガス」「多量未満の毒性ガス」に分ける。
微量:容器の内容積が20リットル以下の充てん容器等を積載し、合計が40リットル以下は「微量の不活性ガス」「微量の酸素または可燃性ガス」において規制がある。
※毒性ガスはどんなに少なくても「微」区分は無い>>「多量未満のすべての毒性ガス」へ
微補足:アセチレンが2kg(12.5リットル容器)以下、酸素ガスは3m3(20リットル容器)以下を1本ずつ以下の場合。シームレスだけなら3m3×二本以内。
多量:特殊高圧ガスと
・圧縮ガス
1)容積300m3以上の可燃性ガス及び酸素
2)容積100m3以上の毒性ガス
・液化ガス
1)質量3t以上の可燃性ガス及び酸素
2)質量1t以上の毒性ガス
※不活性ガスには多量でも特別な規制は無い>>「微量を越える不活性ガスの基準」へ
※酸素は可燃性ガスではないが、輸送についての法律上、特に分別しなければならない必要が無いため、同じグループで規制を整理した。
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不活性ガスとは:ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドン、窒素、二酸化炭素又[緑色容器]は 可燃性のもの以外のフルオロカーボン
>>不活性ガス微量の規制へ
>>不活性ガスで微量を越えるものの規制へ
可燃性ガスとは:アクリロニトリル、アクロレイン、アセチレン[かっ色]、アセトアルデヒド、アルシン、アンモニア[白色容器]、一酸化炭素、エタン、エチルアミン、エチルベンゼン、エチレン、塩化エチル、塩化ビニル、クロルメチル、酸化エチレン、酸化プロピレン、シアン化水素、シクロプロパン、ジシラン、ジボラン、ジメチルアミン、水素[赤色容器]、セレン化水素、トリメチルアミン、二硫化炭素、ブタジエン、ブタン、ブチレン、プロパン、プロピレン、ブロムメチル、ベンゼン、ホスフィン、メタン、モノゲルマン、モノシラン、モノメチルアミン、メチルエーテル、硫化水素及びその他のガスであって次のいずれかに該当するもの
・爆発限界(空気と混合した場合の爆発限界をいう。以下同じ。)の下限が10%以下のもの
・爆発限界の上限と下限の差が20%以上のもの
>>微量の酸素・可燃性ガスの規制
>>少量の酸素・可燃性ガスの規制
>>多量の酸素・可燃性ガスの規制
毒性ガスとは:アクリロニトリル、アクロレイン、亜硫酸ガス、アルシン、アンモニア、一酸化炭素、塩素[黄色容器]、クロルメチル、クロロプレン、五フッ化ヒ素、五フッ化リン、酸化エチレン、三フッ化窒素、三フッ化ホウ素、三フッ化リン、シアン化水素、ジエチルアミン、ジシラン、四フッ化硫黄、四フッ化ケイ素、ジボラン、セレン化水素、トリメチルアミン、二硫化炭素、ふつ素、ブロムメチル、ベンゼン、ホスゲン、ホスフィン、モノゲルマン、モノシラン、モノメチルアミン、硫化水素及びその他のガスであってじよ限量が200ppm以下のもの
>>多量未満の毒性ガスの規制
>>多量の毒性ガスの規制
>>アルシン/セレン化水素のみの規制
特殊高圧ガスとは:アルシン、ジシラン、ジボラン、セレン化水素、ホスフィン、モノゲルマン、モノシラン
>>アルシン/セレン化水素のみの規制
>>その他量に関係なく毒性多量の規制が適用
制限・規制
01)不活性微量
容器の40℃以下保持
転落転倒等による衝撃とバルブの損傷防止(内容積が5リットル以下のものは除く/一般には圧縮ガス0.5m3以下の容器)
等の基本事項を守ること
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02)不活性少量
容器を40℃以下に保持
転落転倒等による衝撃とバルブの損傷防止
「高圧ガスステッカー」の掲示
駐車には特別の注意をはかる
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11)酸素可燃性微量
容器を40℃以下に保持
転落転倒等による衝撃とバルブの損傷防止(内容積が5リットル以下のものは除く/一般には圧縮ガス0.5m3以下の容器)
酸素と可燃性ガスの容器等のバルブが相互に向き合わないようにする
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12)酸素可燃性少量
容器を40℃以下に保持
転落転倒等による衝撃とバルブの損傷防止
「高圧ガスステッカー」の掲示
駐車には特別の注意をはかる
酸素と可燃性ガスの容器等のバルブが相互に向き合わないようにする
消火器、防災保安工具を携行する
イエローカードを携帯し遵守する
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13)酸素可燃性多量
容器を40℃以下に保持
転落転倒等による衝撃とバルブの損傷防止
「高圧ガスステッカー」の掲示
駐車には特別の注意をはかる
酸素と可燃性ガスの容器等のバルブが相互に向き合わないようにする
消火器、防災保安工具を携行する
イエローカードを携帯し遵守する
輸送には移動監視者をつけ、多量の高圧ガスを運ぶ場合の特別なきまりを守る
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22)毒性少量
容器を40℃以下に保持
転落転倒等による衝撃とバルブの損傷防止
「高圧ガスステッカー」の掲示
駐車には特別の注意をはかる
消火器、毒性用の防災保安工具、保護具を携行する
イエローカードを携帯し遵守する
容器に木枠又はパッキンを施す
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23)毒性多量
容器を40℃以下に保持
転落転倒等による衝撃とバルブの損傷防止
「高圧ガスステッカー」の掲示
駐車には特別の注意をはかる
消火器、毒性用の防災保安工具、保護具を携行する
イエローカードを携帯し遵守する
容器に木枠又はパッキンを施す
輸送には移動監視者をつけ、多量の高圧ガスを運ぶ場合の特別なきまりを守る
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「ほぼすべての」とは:法律では、正しくは5リットル以下(シームレス容器では0.5m3以下)を除くとされているが、高圧ガスである限り、粗暴な扱いをして事故が起こった場合、取り返しのつかない怪我や死に至る場合もあるため、例外なくすべての高圧ガスに対して注意することが望ましい。
補足:一般の圧縮高圧ガス容器(シームレス)の場合、通常14.7MPa以上の圧力でガスが充填されている。これはすなわち150kg/cm2の圧力であり、1cm2に150kg(朝青龍)の重さが乗っている程度の力があるということ。
禁止事項
■次に掲げるものは、同一の車両に積載して移動しない。
・容器と消防法 (昭和23年法律第186号)第二条第七項 に規定する危険物(圧縮天然ガス又は不活性ガスの容器{内容積120リットル未満のものに限る。}と同法
別表に掲げる第四類の危険物との場合 及びアセチレン又は酸素の容器{内容積が120リットル未満のものに限る。}と別表に掲げる第四類の第三石油類又は第四石油類の危険物との場合を除く。)
・塩素の容器とアセチレン、アンモニア又は水素の容器
■貯蔵は、船、車両若しくは鉄道車両に固定し、又は積載した容器(消火の用に供する不活性ガス及び消防自動車、救急自動車、救助工作車その他緊急事態が発生した場合に使用する車両に搭載した緊急時に使用する高圧ガスを充てんしてあるものを除く。)によりしないこと。容器(高圧ガスを燃料として使用する車両に固定した燃料装置用容器を除く。)により貯蔵する場合、この基準に適合しないものは、経済産業省令で定める技術上の基準に沿って貯蔵するという法律に違反したものとして、高圧ガス保安法で最高50万円の罰金が課せられ、違反した本人だけでなく両罰規程で所属する企業、雇い主も罰せられる。
一般複合容器:当該容器の刻印等により示された年月から十五年を経過したもの(容器保安規則第二条第十三号 に規定する圧縮水素自動車燃料装置用容器又は同条第十七号の二 に規定する圧縮水素運送自動車用容器にあっては、同規則第八条第一項第十号の充てん可能期限年月日を経過したもの)を高圧ガスの移動に使用しないこと。
アルシン又はセレン化水素を移動する車両には、当該ガスが漏えいしたときの除害の措置を講ずること。
>>当該ガスを運ぶ場合のその他の規制
高圧ガスを移動する車両の「高圧ガスステッカー(法では警戒標)」:
・警戒標は、車両の前方及び後方から明瞭に見える場所に掲げること。この場合、警戒標は、車両の前部及び後部の見やすい場所に掲げること。ただし、小型の車両にあっては、両面標示のものを運転台の屋根の付近の見やすい場所に掲げることができる。
・警戒標は、横寸法を車幅の30%以上、縦寸法を横寸法の20%以上の長方形とし、黒地の金属板に日本工業規格K5673(1983)安全色彩用蛍光塗料の蛍光黄による文字で「高圧ガス」と記載したものを標準とする。ただし、正方形又は正方形に近い形状の警戒標を用いる場合には、その面積を600cm2以上とする。
★前・後ろに1箇所ずつないと保安法違反で警察等に指摘されるケースが増えていますのでご注意を!!
(高圧ガス販売店でご用意できます。「高圧ガスステッカー」とご注文ください)
駐車のきまり:駐車するときは、容器等の積み卸しを行うときを除き、第一種保安物件の近辺及び第二種保安物件が密集する地域を避けるとともに、交通量が少ない安全な場所を選び、かつ、移動監視者又は運転者は食事その他やむを得ない場合を除き、当該車両を離れない
移動監視者:甲種化学責任者免状、乙種化学責任者免状、丙種化学責任者免状、甲種機械責任者免状若しくは乙種機械責任者免状の交付を受けている者又は協会が行う高圧ガスの移動についての講習を受け、当該講習の検定に合格した者をいう
多量の高圧ガスの移動きまり
移動監視者は、高圧ガスの移動を監視するときは、常に免状又は講習を修了した旨を証する書面を携帯しなければならない。
多量の高圧ガスを移動するときは、あらかじめ、当該高圧ガスの移動中充てん容器等が危険な状態となつた場合又は当該容器に係る事故が発生した場合における次に掲げる措置を講じてすること。
・荷送人へ確実に連絡するための措置
・事故等が発生した際に共同して対応するための組織又は荷送人若しくは移動経路の近辺に所在する第一種製造者、販売業者その他高圧ガスを取り扱う者から応援を受けるための措置
・その他災害の発生又は拡大の防止のために必要な措置
多量の高圧ガスを移動する者は、次に掲げる措置を講じてすること。
・移動するときは、繁華街又は人ごみを避けること。ただし、著しく回り道となる場合その他やむを得ない場合には、この限りでない。
・運搬の経路、交通事情、自然条件その他の条件から判断して次の各号のいずれかに該当して移動する場合は、交替して運転させるため、容器を固定した車両一台について運転者二人を充てること。
1)運転者による連続運転時間(一回が連続十分以上で、かつ、合計が三十分以上の運転の中断をすることなく連続して運転する時間をいう。)が、四時間を超える場合
2)運転者による運転時間が、一日当たり九時間を超える場合
移動するガス量による区分 | 消火器の種類 | 備付け個数 | |
消火薬剤の種類 | 能力単位 | ||
圧縮ガス100m3又は液化ガス1tを超える | 粉末消火剤 | B-10以上 | 2個以上 |
圧縮ガス15m3を超え100m3以下又は液化ガス150kgを超え1t以下 | 粉末消火剤 | B-10以上 | 1個以上 |
圧縮ガス15m3又は液化ガス150kg以下 | 粉末消火剤 | B-3以上 | 1個以上 |
※本資料内では毒性ガスすべてに消火器が必要としているが、法律では毒性ガスすべてに消火器が必要とは明言していない。ただし、車両が交通事故やその他の原因で火災にみまわれた場合、「容器は40℃以下」を守れなくなる恐れがあり、(不活性ガスであれば消化剤として利用できないことも無いが)すぐにガスボンベ自体を退避させられない場合を考慮すると、40℃以下の維持の必要機材としても、毒性ガスの移動に消火器が必要と考える。
品名 | 仕様 | 備考 |
防毒マスク | 毒性ガスの種類に適合した、隔離式防毒マスクとする。(全面形、高濃度用のもの) | 空気呼吸器を携行した場合を除く。 |
空気呼吸器 | 圧縮空気放出肺力式空気呼吸器とする。(全面形のもの) | 防毒マスクを携行した場合を除く。(注) |
保護衣 | ビニール引き布製又はゴム引き布製の上衣等で緊急に着用できるもの | 圧縮ガスの場合を除く。 |
保護手袋 | ゴム製又はビニール引き布製のもの(低温ガスの場合は革製のものとする。) | 圧縮ガスの場合を除く。 |
保護ぐつ | ゴム製長ぐつとする。 | 圧縮ガスの場合を除く。 |
品名 | 仕様 |
赤旗 | |
赤色合図灯又は懐中電灯 | 車両備付け品でよい。 |
メガホン | |
ロープ | 長さ15m以上のもの2本以上 |
漏えい検知剤 | |
車輪止め | 2個以上 |
容器バルブ開閉用ハンドル | 移動する容器に適合したもの |
※容器にバルブ開閉用ハンドルが装着されている場合を除く。 | |
容器バルブグランドスパナ又はモンキースパナ | 移動する容器に適合したもの |
革手袋 |
(高圧ガス販売店でご用意できます)
品名 | 仕様 | |
赤旗 | ||
赤色合図灯又は懐中電灯 | 車両備付け品でよい。 | |
メガホン又は携帯用拡声器 | ※消石灰の備考欄に掲げる毒性ガス以外のガスのときは携帯用拡声器をもつこと。 | |
ロープ | 長さ15m以上のもの2本以上 | |
布類(毛布等)ポリエチレンシート等 | ※散布した除害剤を一時的に保持できるもの | |
バケツ | ||
漏えい検知剤 | 石けん水及び適応するガスに応じて10%アンモニア水又は5%塩酸 | |
車輪止め | 2個以上 | |
消火器(※可燃性のものを除く) | 圧縮ガス100m3又は液化ガス1,000kg以上 | 粉末消火剤B-6以上1個以上又はこれと同等以上のもの |
圧縮ガス100m3又は液化ガス1,000kg未満 | 粉末消火剤B−3以上1個以上又はこれと同等以上のもの | |
消石灰 | 液化ガス1,000kg以上 | 40kg以上 |
液化ガス1,000kg未満 | 20kg以上 | |
※塩素、塩化水素、ホスゲン、亜硫酸ガス等効果のある液化ガスに適用し、雨水が当たらないように措置を講じた箱に入れること。 | ||
容器バルブ開閉用ハンドル | 移動する容器に適合したもの※容器にバルブ開閉用ハンドルが装着されている場合を除く。 | |
容器バルブグランドスパナ又はモンキースパナ | 移動する容器に適合したもの | |
革手袋 | ||
防災キャップ | 移動する容器に適合したものとし、パッキン又はシールテープを付属すること。 |
(高圧ガス保安法 第二条 「定義」より)